
ナイキの厚底カーボンシューズを語る上で絶対に外せないのがズームフライです!
発売から少し時間は経ち、カラーによっては値段も下がって安く手に入るものも出てきているようですが、まだバリバリ現役の名作のレーシングシューズ ナイキズームフライ6について今更ながら語りたいと思います。
そもそもナイキの厚底カーボンシューズといえば「ヴェイパーフライ」や「アルファフライ」が憧れの的ですが、高価で耐久性もシビアなため、毎日の練習でガシガシ履くには少し勇気がいります。そこで登場するのが、練習からレースまで幅広くこなせる「ズームフライ」です。
今回の記事では、もはや成熟の域に達した厚底の万能スーパーシューズとも評されるズームフライ 6の実走レビューをお届けします!日々のスピード練習に向けたシューズを探している方や、厚底カーボンシューズデビューを考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
【ちょっと補足:厚底シューズの呼び方について】
一般的に「厚底シューズ」と「厚底カーボンシューズ」という言葉がありますが、実はこの2つには少し違いがあります。 昨今は各メーカーから、カーボンプレートが入っていない「ただクッション性が高くてフカフカな厚底シューズ(ジョグやリカバリー用)」も多数発売されています。 そのためこの記事では、ランニング界の歴史やクッション性の高い靴全般を指す時は**「厚底シューズ」、ズームフライのように硬いプレートの反発・推進力を活かしてスピードに乗る靴を指す時は「厚底カーボン(シューズ)」と意図的に書き分けて解説していきます!
シューズの基本情報
まずはズームフライの基本的なスペックからご紹介します。(※スペックは現行モデルを基準としています)
基本情報一覧
| 項目 | スペック・詳細 |
| ブランド | NIKE(ナイキ) |
| シューズ名 | ズーム フライ 6(Zoom Fly 6) |
| 価格 | 18,700円(税込) |
| 重量(カタログ値) | 約265g(※メンズ27.5cm片足) |
| オフセット(ドロップ) | 8mm |
| ミッドソール素材 | ZoomXフォーム + SR-02(キャリアフォーム) + カーボンFlyplate |
シューズのソール素材を見て分かる通り、最大の特徴はミッドソールに内蔵された「フルレングスのカーボンファイバー製Flyplate(カーボンプレート)」と、反発性の高い「ZoomXフォーム」の組み合わせです。 さらに近年のズームフライは、柔らかく不安定になりやすいZoomXを、硬めで安定感のある「SR-02」というキャリアフォーム(土台となるフォーム)で支えるハイブリッド構造を採用しています。これにより、圧倒的な推進力と、練習でガシガシ使える耐久性・安定感を見事に両立させているのです。
「ZoomX」と「カーボンプレート」の恩恵とは?

驚異的な反発力(ZoomX)
ナイキの最上位レーシングモデル「ヴェイパーフライ」や「アルファフライ」にも惜しげもなく使われている、非常に軽量で高反発なミッドソール素材です。
着地した瞬間にアスファルトの衝撃をフワッと柔らかく吸収したかと思うと、次の瞬間にはバネのように力強く跳ね返す強烈なエネルギーリターンを生み出します。
ズームフライ 6では、このZoomXフォームが前作よりも増量されました。これにより、単にスピードが出しやすいだけでなく、着地の衝撃による脚へのダメージを大幅に軽減してくれる効果もあります。
コロンと前に転がる推進力(カーボンプレート)
ミッドソールの中間層に、つま先からかかとまで靴底全体(フルレングス)にわたって内蔵されている硬いカーボンファイバー製のプレートです。
このプレートがスプリングや「テコ」のような役割を果たし、つま先が反り上がったゆりかごのようなソール形状と見事に連動します。結果として、自分からふくらはぎの筋肉を使って無理に地面を蹴りに行かなくても、少し重心を前に傾けて体重移動するだけで、勝手に足が前に送り出されるような独特の推進力が生まれます。
特にレースの後半や、過酷なトレーニングで疲労が溜まった時、自分の筋力ではなくシューズの構造自体が脚を回してくれる強力な補助になる為、ペースの落ち込みを最小限に食い止めてくれる非常に頼もしいパーツであり、厚底カーボンシューズのコアテクノロジーとも言えます。
使い方やターゲットペース
ざっくりとズームフライの推奨シーンやサイズ感は以下の通りです。スピードを出して走るトレーニングや、市民ランナーのレース本番用としての位置づけになります。
| 項目 | 詳細 |
| 推奨シーン/用途 | ペース走、距離走、テンポラン、マラソン本番 |
| ターゲットペース | 3:45〜5:30/km(サブ4以上) |
| サイズ感(ワイズ) | やや細め〜標準。アッパーのホールド感が強め |
| 特徴 | カーボンプレート特有の推進力で、ハイスピードを維持しやすい厚底シューズ |
そもそもズームフライってどんな靴?
練習用レーシングシューズ?!
ナイキのズームフライは、一言で表すなら「トップ選手の履くレーシングシューズの練習版」であり、「市民ランナーの頼れるレースシューズ」です。
最大の特徴は、やはりカーボンプレートがもたらす「反発」と「転がり感」です。足を置くだけで勝手に重心が前に倒れ込み、ポンポンと弾むようにペースが上がっていきます。ただ柔らかいだけのクッションシューズとは異なり、反発をもらってスピードに乗ることに特化しています。
ソールパターンはこんな感じです↓因みにこの状態で少なくとも150キロは使用してます..(もう寿命..)

ソールパターンを見て分かる通り、ミッドフットやヒールストライク(かかと着地)の走り方より前足部のグリップがしっかりあるので、よりスピードを出しやすいフォアフットに向いているシューズとも言えるはずです。
ナイキのランニングラインナップにおける位置づけ
ナイキの人気なランニングシューズの中で、ズームフライは「スピード」と「耐久性」のバランスを取った絶妙なポジションにいます。
| シリーズ名 | 重視ポイント | 特徴・用途 |
| アルファフライ / ヴェイパーフライ | 究極のスピード(ハーフ〜フル) | 超軽量・最高反発。エリートランナーの長距離用勝負靴。 |
| ストリークフライ | 短距離のスピード(5km〜10km) | 非常に軽く接地感が高いモデル。短い距離のロードレースやインターバル練習に特化。 |
| ズームフライ | スピード練習・レース(長距離) | 耐久性と安定感を持たせた、厚底カーボントレーニング&レース靴。 |
| ペガサス ストラクチャー | 日々のジョグ | クセがなく耐久性に優れた万能デイリートレーナー。 |
トップ選手が履くアルファフライなどの圧倒的な推進力や履き心地を、「毎日の練習でも安全に味わいたい」という市民ランナーの要望に応える形で進化してきたのがズームフライです。
一方で、よりダイレクトな接地感を求めて短い距離(5kmや10km)を全力で駆け抜けたい時や、トラックでのスピード練習には「ストリークフライ」や「ヴェイパーフライ」も適しており、ランナーの走る距離や目的に合わせて見事に役割が分かれています。
購入に至った経緯
実は私、ズームフライシリーズに関しては初代モデルが発売された2017年当時から愛用しています。私にとって「人生で初めて履いた厚底カーボンシューズ」が、まさにこの「ズームフライ」でした。
*厳密にはカーボンファイバーなので、炭素繊維と樹脂が混ざったプレートです

あの当時、ナイキが世界に衝撃を与えた「厚底+プレート」という新しい概念を、私たち一般の市民ランナーが身近に体験できるようになった実質的な最初のシューズが、このズームフライだったと記憶しています。初めて履いて走った時の、あの勝手に足が回るような感覚は本当に衝撃的でした。
それ以降、毎回の新作を欠かさずコンプリートしているわけではないのですが、自分のランニングライフの中でズームフライシリーズは常に「頼れる練習の相棒」として節目節目で買い続けてきました。
今回も、手持ちの練習用シューズがヘタってきたタイミングで、そろそろ新しくなったズームフライに買い直すか〜という、長年の信頼感からの自然な流れで購入に至りました。
見た目&足入れ

足を入れてみて感じるのは、アッパーのしっかりとしたホールド感です。スピードを出した時に足が靴の中でブレないよう、かなりカッチリと包み込まれる感覚があります。レース系のシューズではヒール部分が薄めのものもありますが(ストリークフライなんかは薄め)、ズームフライは比較的厚めに作られているように感じます。

私は普段26.5cmを履いていますが、ズームフライに関しても同サイズで問題ありませんでした。シューズの構造が細めに作られているように見えますし、レーシングシューズに近いフィット感なので、ジョグシューズのようなルーズな快適さというよりは、「さあ走るぞ!」と気合が入るようなタイトさがあります。
実際に走って使ってみた感想
購入してからそれなりに時間がたっているのですが、改めてこのズームフライの感想というか魅力を語りたいと思います。
ペースを上げるほど真価を発揮する推進力
普段ミッドフットからフォアフット気味に着地する走り方を意識していますが、キロ5分を切るあたりから、カーボンプレートの恩恵をはっきりと感じ始めます。
着地した瞬間にZoomXフォームが沈み込み、その奥にあるカーボンプレートがしなって、「カクンッ」と前に転がるように足が自然に送り出される感覚は本当にスピードを出す強力なサポートになります。特に初めてプレート入の厚底シューズを履かれた方には病みつきになるはずです。自分が想定しているよりも1キロあたり10秒〜15秒ほど速いペースが出やすく、他のシューズと同じような出力で走っているつもりなのに「あれ?こんなにラクにこのペースが出ているの?」と感じることも多いです。
疲労困憊でもブレない「キャリアフォーム」と驚きのグリップ
トライアスロンのランパートや、マラソンの後半に疲労が溜まりフォームが崩れかけた時、このシューズは。 下層にある「SR-02」がしっかりと土台として機能しているため、足首がグラグラすることなく、強制的に真っ直ぐ前へと体重移動をさせてくれます。
さらに驚いたのがアウトソールのグリップ力です。先ほど写真でも紹介しましたが、薄型のウェブラバーが採用されており、ロードで踏み込むたびにしっかりと地面を掴んでくれる感覚があります。
安定感の向上
私が使用していたズームフライの以前のモデルはソールが細く若干ぐらつくする印象がありました。ただ近年のモデルはアウトソールの幅が広くなり、着地時の安定感が格段に向上しています。トライアスロンやウルトラマラソンの練習で、後半に疲労が溜まってフォームが崩れかけた時でも、靴の構造がブレを補正して前へ運んでくれる安心感があります。
気になるところ
圧倒的な推進力がある反面、「ゆっくり走る(ジョグやLSD)」ことには圧倒的に不向きです。
シューズ自体が「前に転がろう」とする構造になっているため、キロ6分〜7分などのゆっくりとしたペースで走ろうとすると、逆にプレートの硬さやソールのカクカクした動きが邪魔に感じてしまいます。
また、本番用のヴェイパーフライなどと比べると、耐久性を持たせている分どうしても「重量」があります。キロ4分前半より速いペースで追い込んでいくと、徐々にこの靴の重さが気になってくる感覚がありました。最早三分台に入ってくるのであれば、ヴェイパー以上の靴の方がスピードは出しやすくなるかもしれません(あくまで個人の感想ですが)
靴のキャラクターとしてはあくまで「スピードに乗せて反発をもらう」シューズです。そのため、足裏のダイレクトな接地感を求める方や、自分の筋力だけで走りをコントロールしたい方にはあまり向いていません。
どんな使い方がおすすめ?
ゆっくり走るのには不向きと書きましたが、「キロ4分半〜5分半前後のペース走や距離走」においては、これ以上ないほど強力な武器になります。
日々のジョグやリカバリーにはペガサスのようなデイリートレーナーを愛用していますが、タイムを意識したレースや、スピードトレーニングではたまに履くようにしています。
脚の疲労を軽減しながら、本番に近い「カーボンシューズの走り方」を体に覚えさせるための「最強の練習パートナー」として、シューズローテーションに欠かせない一足です。
デザイン(おまけ)
写真を見て、「あれ?いつものナイキとちょっとデザインが違うな」と思われた方もいるかもしれません。実は私が選んだこのズームフライ6は、通常モデルとはカラーリングが異なる「駅伝パック」という特別シリーズのものなんです。

正直に言いますと、私自身も最初から「どストライクなデザインだ!」と思っていたわけではありません(笑)。まあ、悪くないかなくらいの印象でした。 実際、私の周りのランナー仲間に見せても「うーん、このデザインはちょっと派手すぎるかも…」という反応が多かったです(笑)。
ただ、そのおかげで(?)お店やネットで比較的売れ残っており、見事に値下がりしたタイミングで超お得に購入することができました! ちなみに、同じ駅伝パックカラーの最高峰モデル ヴェイパーフライやアルファフライも長〜く売れ残っていたので、きっと本作のデザインはランナー界隈であまり人気がなかったんだろうなと察しています。
デザインにそこまで強いこだわりがなく、とにかく「安く高性能なシューズを手に入れたい!」という方にとって、こういった少しクセのあるカラーは実はかなりの狙い目だったりします。
駅伝パックとは?
毎年お正月に行われる箱根駅伝などの『日本の駅伝シーズン』に向けて、ナイキが冬の時期に発売する日本独自の特別コレクションのことです。
- 特徴: 毎年テーマが変わり、日本の風景(朝日や山)や、スピード感をイメージした非常に目立つ(良くも悪くも派手な)ネオンカラーなどが採用されます。
- 対象シューズ: ズームフライだけでなく、ペガサスやヴェイパーフライ、アルファフライなど、ナイキの主要シューズがすべて同じ「駅伝カラー」で統一して発売されます。
お正月の駅伝中継を見ていると、多くの選手が足元に同じ派手なカラーのナイキシューズを履いているのに気づくと思いますが、あれがまさに「駅伝パック」です。 毎年「今年のカラーはかっこいい!」「今年のはちょっと派手すぎる……」とランナー界隈で話題になるのも、ナイキの冬の風物詩となっています。
どんな人に向いている?
今回のレビューを踏まえて、このシューズは特に以下のような方におすすめしたいです。
- 初めて厚底カーボンシューズに挑戦したい人
ヴェイパーフライより安定感があり、カーボンの入門編として最適です。 - フルマラソンでサブ3.5〜サブ4を目指す人
この靴をレース本番用として履くことで、後半の失速を大きく防いでくれます。 - 質の高い「ペース走」や「距離走」の練習用シューズを探している人
本番用の靴を温存しつつ、質の高いトレーニングが積めます。 - ストライドを伸ばしてダイナミックに走りたい人
反発を利用して、楽にストライド(歩幅)を広げることができます。
色々書いてますが、中級者以上のランナーにおすすめです!
最後に…

今回、ズームフライ 6をそれなりの期間履き込んでみて、軽量化・ZoomXの増量・ハイブリッド構造というアップデートが、いかにこのシューズを「別次元の完成度」へと押し上げたかを痛感しました。自信を持っておすすめできる一足です。
これまでの「ちょっと重い練習靴」というイメージは完全に払拭され、レーシングシューズとしても、最高峰のトレーニングシューズとしても死角のない仕上がりになっています。
ただ、正直なところ私自身は、厚底カーボンシューズの圧倒的なメリットを知りつつも、悪い意味で「厚底に慣れきってしまうこと」が怖いため、意図的に使い過ぎない(履く頻度を調整する)ようにしています。
というのも、良くも悪くも「勝手に速く走れてしまう」シューズなので、普通のシューズとは足の筋肉の使い方が明確に変わるからです。実際、駅伝で圧倒的な強さを誇る青山学院大学でも、厚底シューズを履きこなすための専用のトレーニングや補強練習を取り入れているという話があるくらいです。厚底の反発をもらい続けるには、それに耐えうる土台も必要になってきます。
ここまで少し注意点も書きましたが、それを踏まえてもズームフライが名作シリーズであることは間違いありません。昨今は他のメーカーからも続々と優秀な厚底シューズが登場しており、「厚底シューズと言えばナイキ一択」という時代はすでに終わっています。しかし、厚底カーボンシューズのパイオニアとして歴史を切り拓いてきたこのモデルには、今でも全く色褪せない確かな技術と魅力が詰まっています。
レース本番だけでなく、日々のハードな練習の中で「質の高いスピード持久力」を作っていく段階において、こういったテクノロジーの恩恵を受けられるシューズは非常に心強い味方になります。最新の厚底カーボンの威力を日々の練習やレースに取り入れてみたい方は、ぜひズームフライ 6を試してみてはいかがでしょうか?

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