【書評】『スマホ脳』を読んで:効率化の代償と「走る」ことの真の価値

自己啓発

「スマホ脳」と聞いて何を思い浮かべますか?私は気になって読んで見ましたが、内容としては勉強になっただけでなく、スマホや自分の脳について知るいいきっかけとなった本でした。

本のタイトルからは想像がつかないかもしれませんが、実はこの本で提唱されているは、ずばり運動をしようということです!そんなスマホとの向き合い方を学べるだけでなく、運動のモチベーションも上がるこの本のレビューをしていきたいと思います。

本の概要

  • タイトル: スマホ脳
  • 著者: アンデシュ・ハンセン
  • ジャンル: ビジネス

今回紹介するのはスウェーデンの現役精神科医が、最新の脳科学と進化心理学の視点から「なぜ私たちはスマホをやめられないのか?」を解き明かした世界的ベストセラーです。

私たちが日々感じている「集中力の低下」や「原因不明の疲労感」「睡眠不足」の正体が、実はスマホによる「脳のハッキング」が大きく影響していることを分かりやすく解説してくれています。単なるテクノロジー批判にとどまらず、デジタル社会から私たちの脳と心を守るための具体的な対策まで教えてくれる、現代人にとって必読の指南書です。

なぜこの本を手に取ったのか

そもそも皆さんは「スマホ脳」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?きっと多くの人が自分では?と感じる部分が少なからずあるのではないでしょうか。

正直、私もスマホがここまで当たり前に普及した今の世の中では、スマホがないとちょっとした買い物すらできません。もし出先でスマホをなくしたら、おそらく何もできなくなる自信すらあります。そんな自分もすでにスマホ依存、つまり『スマホ脳』になっているのではないか?という危機感があったことも、この本を読んでみようと思った大きな理由です。

実際に読んでみると、人がスマホ中毒になる理由だけでなく、私たちが日頃なんとなく感じているストレスや疲れの「本当の原因」がどこにあるのかを深く理解することができました。
普段からスマホを手放せない人だけでなく、これから子どもにスマホをどう与えるべきか悩んでいる親御さんなど、現代社会を生きるすべての人にぜひ読んでほしい一冊です。

この本を読んで特に印象に残ったことや学び

ここからは、実際にこの本を読んで私自身がハッとさせられた学びをご紹介していきます。

ヒトの脳は「サバンナで暮らしていた1万年前」からアップデートされていない?!

本書の冒頭では、人類の長い歴史において、スマホやAIが存在する現代は「ほんの一瞬」に過ぎないという事実が提示されます。本のページにいっぱいの点が描かかれており、その中で今が一つドットでしかないというわかりやすい表現がされています笑。

そしていいか悪いか、我々は過去に人類が誕生してからの膨大な時間の中においては一瞬の時間に、過去の人類と比較にならないほど便利で、高効率で、生産性の高い様々なテクノロジーを開発し、世界を劇的に変えてしまったのです。その一つがスマートフォン(=スマホ)です。

しかし、ここで忘れてはいけない重要なポイントがあります。それは「圧倒的に進化したのはテクノロジー」だけだということです。私たちの生物としての脳の仕組みや特性は、サバンナで狩猟採集をして生き延びていた1万年前の人類からほとんど変わっていないとのことです。つまり、私たちの身体や脳は、この急激なテクノロジーの進化に適応できる状態にはないといことなのです。

身の回りのものが圧倒的に便利になったことは、人類としてある意味「大成功」と言えるかもしれません。しかし、四六時中スマホを手放せなくなってしまった現在の私たちの姿を見て、果たしてこれは本当に「良いこと」なのでしょうか?本書は、そんな根源的な問いを投げかけてくれます。

そして実は、この「テクノロジーと生物としての進化のズレ」こそが、私たちがスマホから脱却できない最大の理由に繋がってきます。

シンプルに言えば、私たちの脳は未だにサバンナを走り回っていた頃のままなのに、スマホは、その「原始的な脳のシステム」を直接ハッキングするような身近なテクノロジーだということです。では、スマホは具体的にどのように私たちの脳をハッキングしているのか?

スマホ(SNSなどのアプリ)は、脳の報酬系(ド-パミン)をハックするように設計されている

本書では、「なぜ我々はスマホをいじることをやめられないのか?」について詳しく説明されています。結論から言うと、これは私たちの意識や「意志の弱さ」のせいではありません。私たちが喜びを感じる「ドーパミン」という脳の仕組みを、スマホが明確にハッキングしているからなのです。

そもそもドーパミンは、私たちを元気にするだけでなく、「何に集中すべきか」を選択させる役割を持っています。狩猟採集の時代から、人間は生き延びるために「新しい情報や知識」「仲間からの連絡」を得たときにドーパミンが出るように進化してきました。現代において、スマホはまさにその「新しい情報」を絶え間なく提供してくれる為、私たちはいとも簡単にスマホを手に取って(=依存)アプリを開いてしまうのです。

さらに人間の脳の厄介なところは、「情報そのものを確認した時」よりも、「次に新しい情報があるかもしれない」「何か通知が来ているかもしれない」と期待している時の方が、ドーパミンの分泌量が増える点です。脳は「かもしれない(予測不能な報酬)」が大好きで、その対象をどうしても確認したくなるよう行動を促す仕組みになっています。これは人間が生き延びるために備わった、次の行動を促す為の本能であるため、スマホの誘惑に抗えないのは、決して個人の意志力の問題ではないのです..

一方で、アプリを開発する企業側は「いかにユーザーにアプリを見続けさせるか」に全力を注いでいます。例えば、あえて表示を少し遅らせて期待感を煽ったり、次々と気になるコンテンツを自動再生したり、無限にスクロールできるようにしたりと、様々な工夫が凝らされています。これはまさに、Instagram、Facebook、YouTubeなどの私含め皆さんが日常的に使用するSNSで行われている手法です。

では、なぜそこまでして人間にスマホを触らせようとするのか?それは、私たちがスマホでSNSを見たりネットサーフィンをしている「時間そのもの」が、企業にとっての「お金(広告収入)」に直結するからです!だからこそ、企業は私たちのドーパミンを刺激し、1秒でも長くアプリに滞在させようとします。

その結果、人間は「通知の内容」そのものよりも、「通知が来ること」自体を気にするようになってしまいます。「気になる人からLINEが来ているかもしれない」「いいね!がついているかもしれない」という期待感によってドーパミンが分泌されるようになり、無意識のうちにスマホに手を伸ばすという次のアクションを取らされてしまうのです。

私もスマホが当たり前になってから無意識にスマホをいじっているときがありましたが、なぜそういった行動を取っているのかなぜそれがやめれないのかの理由は正しくわかったという意味でも目から鱗でした。

ちなみに、Netflix(ネットフリックス)でも、このテクノロジー企業の仕組みや恐ろしさを教えてくれる『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』というドキュメンタリー番組が配信されています。興味がある方は、ぜひそちらも見てみてください。これを見るといかに我々がスマホに支配されているかがよ〜くわかります!スマホからでもいいのでおすすめです

集中力や記憶力の低下

人って仕事しながらスマホの通知を気にしたり、スマホでメールをしながら音楽を聞いたり、マルチタスクをするのが当たり前になってますよね?それぞれをうまくこなせているように見えて実は一つ一つのことを集中して行えている人は少ないのです。

人間の脳は本来、マルチタスク(同時処理)ができません。にもかかわらず、スマホをチラチラ見ながら別の作業をすると、脳は常にタスクの切り替えを強いられ、著しく集中力が低下します。スマホに限らず、PCでも同じだと思います。マルチタスクをしている際、自分自身は「Aのことに集中している」と思っていても、実際には脳の意識が次の「B」へと分散してしまっているのです。

狩猟採集の時代であれば、複数の複雑な状況に同時に対処することは生存につながるため、脳はそれを「頑張っている」と錯覚してドーパミン(報酬)を出してしまいます。しかし、現代の作業においてマルチタスクは、実際には集中できていないため効率が悪く、取り組んだことが記憶として身につきにくくなってしまうのです。

「それなら、スマホを見ないようにするか、通知を気にしなければいいのでは?」と思うかもしれませんが、実はそれも正しくありません!「スマホがそこにある」「通知を無視する」ということ自体に、脳は無意識のうちにエネルギー(ワーキングメモリ)を消費してしまうからです。実際、『スマホ脳』の中では、スマホを別の部屋に置いている人に比べて、自分の近くにスマホを置いている人の方がテストの成績が落ちるという実験結果も紹介されています。

また、私たちはよくスマホで写真を撮りますが、写真を撮るだけでその対象物の記憶が残りづらくなることが分かっています。「スマホが記憶してくれたから、わざわざ自分の脳で覚えておく必要はない」と脳が判断してしまうためです。グーグル効果とも言われているようです。

話は少し逸れますが、NBAのレブロン・ジェームズが歴代最多得点記録を更新した歴史的瞬間の写真を思い出します(ググると出てくるはずです)。観客のほぼ全員がスマホを掲げて録画している中、ナイキ創業者のフィル・ナイトだけはスマホを持たず、自分の目でしっかりと現実を観戦していました。あの写真は、「すべてをスマホに残そうとする現代の私たち」への強烈なメッセージのように思えて、個人的にとても印象に残っています。

脳が休まる暇がない!「SNSストレス」と「睡眠不足」が招くメンタルの危機

スマホやSNSが私たちから奪うのは、集中力だけではありません。私たちの精神、特にメンタルヘルスや睡眠にも深刻なダメージを与えています。その自覚がなくとも実は消耗している人も少なく無いはずです..。

特に10代の若者にとって、スマホの使用を自粛し、自分でコントロールすることは決して簡単ではありません。なぜなら彼ら彼女らの脳(特に衝動を抑える前頭葉)はまだ成長途中であり、大人以上にSNSの強い刺激にのめり込みやすい状態にあるからです。

しかも思春期の学生や若者にとって、友人関係や「周りから自分がどう見られているか」は死活問題です。そのため、SNSにおける自分のプレゼンス(フォロワーの数や、「いいね」をされる・されない)が、自分の価値そのものであると認識するようになってしまいます。ネット上でいつでも見られる他者の完璧に演出された生活と自分を四六時中比較し、勝手に疲労し、強いストレスを感じてメンタルを消耗していくのです。

ここでも、あの「サバンナ時代の脳」が関係しています。他人のキラキラした生活を見続けることで、古い脳は「自分はこの群れの中で社会的地位が低い」と錯覚します。狩猟採集時代、群れでの地位の低さや孤立は「死」を意味しました。そのため脳は命の危険を感じて警報を鳴らし、これが強いストレスや抑うつ状態を引き起こす原因になるのです。

何より常に通知が届き、気になる情報が無限に溢れているデバイスをポケットに入れていること自体が、脳にとっては常に戦闘状態を強いられているようなものであり、知らず知らずのうちに脳のストレスとなっているのです。

そして、私たちが寝る直前まで手放すことのできないスマホは、日中のストレスから心身を回復させるための「睡眠の質や時間」までも奪っています。

スマホの画面から出るブルーライトが、睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌を抑えてしまうことはよく知られています。しかし問題はそれだけではありません。スマホがもたらす「もっと新しい情報が欲しい」「誰かから連絡が来ているかもしれない」という期待感が脳を興奮状態にし、強制的に覚醒させてしまうのです。

ベッドの中でスマホをいじるという現代の当たり前の行為が、実は睡眠の質を著しく落とし、脳を回復から遠ざけてしまっているのです。

SNSによる精神的な消耗と、脳を休められない睡眠不足。この二つが重なることは、メンタルヘルス悪化の決定的な引き金になります。実際に様々な研究において、スマホを使用する時間が長ければ長いほど、不安障害やうつ病を発症する確率が顕著に高くなることが証明されているのです…

心に刺さったポイント / 学び

次にこの本を通して個人的に心にささたポイントを紹介していきます!

「集中力の欠如」「うつ」は現代病ではなく、脳の防衛本能

スマホがもたらす圧倒的な便利さと引き換えに、私たちは実に多くのものを失っていることに気づかされました。今回のレビューではすべてを紹介しきれませんでしたが、本書では脳がストレスを感じるメカニズムについても非常に詳しく解説されています。

現代社会において、私たちの脳は常に通知を気にかけ、絶え間ない情報にさらされているだけでなく、長期にわたる仕事のプレッシャーやストレスを抱えることは常に脳を疲労させ、緊急事態だと勘違いさせることにつながります。そういった便利だけど生きづらい環境の中で、うつ病になってしまったり、集中力を失ってしまったりするのは、決して「自分が悪い」わけでも「意志が弱い」わけでもありません。異常な環境に対して、「脳が正しく自分を守ろうと防衛本能を働かせている結果」なのだという事実に気づき、深く胸に刺さりました。

そして便利で魅力的なスマホやSNSは、私たちのサバンナ時代から大きく変わっていない脳の特性を巧みに利用して作られています。私たちは、自分が認識している以上にスマホに集中力を奪われている上に、常にストレスの高い状態へと誘導されているのです。

これらのことを踏まえると、自分自身のスマホの扱いや距離感を見直すのはもちろんのこと、これから脳が大きく成長していく「子どもたちへのスマホの与え方」については、これまで以上に慎重になるべきだと強く感じました。

スマホ脳への最強の処方箋:解決策は「運動」である

これまでに述べてきたスマホ依存に伴う様々な悪影響に対し、実は極めて有効な解決策があります。それが「運動」です!!本書では、特に心拍数を上げる「有酸素運動」がおすすめと書かれており、その中でも最も気軽にできるのがランニングです。実を言うと、この記事を通して私が一番伝えたかった結論がこれなのです!

私自身、スマホ策の本の結論がまさかここに行き着くとは予想もしていませんでしたが、ズバリ「運動をすること」、これこそが私たちが今すぐできる最強の対抗策なのです。

では、なぜスマホ対策として「ランニング」がそれほど効果的なのでしょうか?ここでも、あの「サバンナ時代の脳」が深く関係しています。理由は大きく分けて2つあります。

ストレスに対する耐性が上がる(メンタルの強化)

ランニングなどをすると、体には一時的に負荷がかかり、ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されます。しかし、走り終えると、そのホルモン値は「運動前よりも低いレベル」まで下がることが分かっています。

日頃からランニングで体に適度なストレスをかけ、この「ストレスと緩和」のサイクルを経験させておくと、ストレスへのブレーキの効きが格段に良くなります。結果として、スマホやSNSから受ける日常的なストレスに対しても、圧倒的に強い脳ができあがるのです。

走っている時こそ、脳が最も発達し集中力が上がる

狩猟採集の時代、人間が全力で走るシチュエーションといえば「獲物を追いかけて狩りをする時」か「猛獣から逃げる時」でした。つまり、走っている瞬間こそが「絶対に生き延びなければならない最重要の局面」だったわけです。

そのため人間の脳は、走っている時に最も集中力が研ぎ澄まされ、脳細胞(特に記憶を司る海馬)を成長させる物質が大量に分泌されるように進化してきました。筆者はこれを「走っている時が一番脳が発達するようにできている」と分析しています。

つまり、ランニングなどの有酸素運動は、スマホによって奪われた「集中力や記憶力」を取り戻し、過剰な「ストレスや不安」を静めてくれる、まさに最強のソリューションというわけです!

もう今すぐにもでランニングを始めたくなりせんか?!笑

この本を読んで「明日から変えること」

読んだ後に、自分の生活や仕事、考え方にどう取り入れたいかを整理してみました!

寝室へのスマホ持ち込み禁止:寝室には自分のiPhoneを持ち込まず、目覚まし時計を使うようになりました!お陰で寝る前だけでなく、起きた後に布団の中でスマホを触ることがなくなりました!

運動をする: これは今までもやってきたことですが、これからももっと続けようと思いましたし、自分も守るためにも、忙しいときでもなんとか運動する時間は確保しようと思います

スマホと物理的な距離を取る: 集中したい時、寝る時はもちろんのこと明確や目的を持ってスマホを使用したいとき以外はスマホを別の部屋に置く(同じ部屋にあるだけで集中力を削がれるため)

最後に..

私たちはこれほどまでにスマホを手放せないのか」という理由を正しく認識でき、本当に読んでよかったと感じています。

スマホを無意識にいじりたくなる脳のメカニズムを理解できたことで、自分なりの「スマホとの付き合い方」を改めて考える大きなきっかけになりましたし、今まで漠然と抱いていた疑問がクリアになって非常にスッキリしました。

そして何より嬉しかったのは、私がこれまで続けてきた「運動(ランニング)習慣」が、体だけでなく脳にとっても、さらには最強のスマホ対策にもなっていると証明されたことです!(おかげで、日々の走るモチベーションがさらにアップしました笑)

日頃から運動されている方にとっては、「自分の習慣は間違っていなかったんだ!」と強く背中を押してくれる内容になっています。一方で、これまで運動習慣があまりなかった方も、スマホから完全に離れることが難しい現代社会を生き抜くために、日々のストレスから自分自身の脳を守り、うまく付き合っていくための第一歩として、ぜひ「運動習慣(特にランニングがおすすめです!)」を作り始めてみることを強くおすすめします。

そしてこの本の内容が気になった方は是非本を手に取って見て下さい!

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