天使と悪魔/ダン・ブラウン_おすすめ度:☆★★★★

友人のおすすめで、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』を読んでみました。文庫本で「上・中・下」の3巻構成と聞いたときは少し身構えましたが、いざ読み始めると驚くほどスイスイと読めてしまいました。
あらすじ
本作は、新たな教皇を選ぶ選挙「コンクラーベ」に沸くバチカン市国と、ローマの歴史的な街並みを舞台にしたタイムリミット・サスペンスです。
登場するのは、事件に巻き込まれた宗教象徴学者の大学教授や、恐るべき破壊力を持つ未知の物質「反物質」を研究する若き女性物理学者。伝説の秘密結社「イルミナティ」が仕掛けた爆弾のタイムリミットが迫るなか、美しい彫刻や美術品に隠された暗号を辿りながら、姿なき暗殺者との頭脳戦を繰り広げる「歴史謎解き」のスタイルをとっています。
事実とフィクションが精巧に絡み合う知的な興奮と、一分一秒を争うスリリングな展開がギュッと詰まった作品です。
感想
著者のダン・ブラウンはあの世界的ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』で有名な方で、本作も同じ主人公が活躍するシリーズです。この『天使と悪魔』がシリーズ第1作目にあたるようです。映画では順番が逆みたいですが。
物語は、複数の登場人物の視点が切り替わりながら進んでいくため、さまざまな角度から事件を楽しめます。非常にテンポよく物語が転がっていくため、息つく暇もありません。特に後半に入ってからの怒涛の展開は凄まじく、文字通り「読むのが止まらなくなる」面白さでした。
本作の根底にあるテーマは、平たく言うと「宗教 VS 科学」の戦いです。キリスト教の長い歴史において、科学がどのような位置づけにあったのかを知ることができ、非常に興味深かったです。かなり壮大なテーマを扱っているのですが、それでもよくこの一つの作品にまとめているなという印象を受けました!もっとキリスト教の歴史を勉強してから読んでも面白い気がしました。
さらに惹き込まれるのが、現実とフィクションの絶妙なバランスです。物語の鍵となる「CERN(欧州合同原子核研究機関)」や「反物質」は実在するそうです(反物質の生成や取り扱いの詳細についてはフィクションのようですが)。また、舞台となるバチカン市国の描写も基本的事実に基づいており、巻頭にはカラー写真や図も掲載されているため、リアルに想像しながら楽しむことができます。現実のローマの名所や歴史、芸術作品について知っていれば、さらに深く楽しめる一冊だと感じました。
まとめるとタイムリミット・サスペンスです。映画化もされているようなので、小説で味わったこの興奮が映像でどう表現されているのかとても気になります。機会があれば、ぜひ映画版も観てみたいと思います!
どんな人におすすめ?
宗教にまつわる怪しげな秘密結社や、歴史的な陰謀論などのミステリーが好きな人にはたまらない一冊です。それでいて、単なる歴史モノにとどまらず、最先端のテクノロジーやSFっぽい要素も少し絡んでくるのが面白いです。
きっと『ダ・ヴィンチ・コード』でハマった人も間違いなく夢中になるはずです。私は本作をきっかけに、世界的にヒットした本作の次回作である『ダ・ヴィンチ・コード』の方もぜひ読んでみたくなりました。
もう一度生まれる 朝井リョウ_おすすめ度:☆★★★★

あらすじ
本作は、同じ大学周辺を舞台にした5編からなる連作短編集です。 登場するのは、就職活動を控えた大学生や、自分の才能に見切りをつけようとしている若者たち。それぞれが別の短編で主人公となりつつ、他の物語でも脇役として交差していく「群像劇」のスタイルをとっています。
朝井リョウさんらしい、若者のリアルな心理描写と、少しヒリヒリするような感情の揺れ動きがギュッと詰まった作品です。
感想
この作品の醍醐味は、なんといっても主人公同士や登場人物たちが別の物語で少しずつ交差していく点です。「あ、あの時のあの子がここではこんな顔を見せるんだ」という、連作短編ならではの繋がりを見つける楽しさがあります。
そして何より、日本の大学生活を経験した人なら、5つの物語のどこかに「あ、これ自分だ」と感情移入できる主人公が必ずいるはずです。
正直なところ、私自身は理系の大学出身で、学生時代は日々課題や単位、研究に追われる毎日でした。なので、この本に描かれているような「THE・大学生」というキャンパスライフには一種の憧れがあり、現実でまったく同じ体験をしたわけではありません。それなのに、なぜか彼らの感情が痛いほどよく分かるんです。直接的な経験は違っても、日本の大学に通ったことがある人なら、きっと誰もがこの特有の空気感に共感してしまうはずです。
そしてそんな登場人物たちはみんな、決して今の自分や現実に100%満足しているわけではありません。大学生って、まだどこか学生気分が抜けないモラトリアムな時期ですが、彼ら・彼女らなりに必死に悩み、もがいています。
大人とも言い切れないけれど、決してもう子供でもない。 明確な夢ややりたいことがある人もいれば、周りにただ流されているだけの人もいる。でも、どんな立場であれ、日常の中で抱えている焦りや葛藤の根っこは、結局みんな同じなんだなと気づかされます。誰もが現状に悩みながらも、だからといってドラマチックに絶望するわけではなく、当たり前のように日々を生きていく。そのリアルさが本当に絶妙です。
彼らの心情は、自分の経験に対して「どストライク!」ではないかもしれない。でも、「絶対にボールにもならない、絶妙なストライクゾーン」を突いてくる感覚があるんです。完全に同じ境遇ではなくても、読んだ人の心のどこかに必ず刺さるように描かれている。
読むたびに「やっぱり朝井リョウってすげえな…」と唸らされますし、読み終わった瞬間から「早く次の朝井リョウ作品が読みたい!」と思わされてしまう、そんな中毒性のある一冊です。
どんな人におすすめ?
リアルタイムで将来に悩む学生さんから、あの頃の空気感を懐かしみたい大人まで。読む人によって違う角度から心に「刺さる」ものがある、中毒性たっぷりの青春小説です。気になった方はぜひ手に取って、朝井リョウさんの凄さを体感してみてください!
悪い夏/染井為人_おすすめ度:☆☆★★★

大ヒット作『正体』を読んだ後、「染井為人さんの他の作品も読んでみたい!」と思い、手に取った一冊です。
あらすじ
主人公は、市役所で生活保護受給者を担当する26歳のケースワーカー・佐々木。日々の激務と理不尽な要求に疲弊する中、ふとしたきっかけから生活保護費を巡る貧困ビジネスやヤクザの思惑に巻き込まれていきます。公務員という立場でありながら、次第に後戻りできない泥沼へと足を踏み入れてしまう、転落のノワールサスペンスです。
感想
本作のテーマは、生活保護受給者と彼らを管理する市役所のリアル。フィクションとはいえ、「これってどこまでが本当なんだろう……」と薄ら寒くなるような、生々しく泥臭い描写が続きます。
終盤は怒涛の急展開を迎え、あらゆる出来事が一気に巻き起こりますが、それは最後まで読んでからのお楽しみ。このラストの展開をどう受け止めるかによって、作品の評価が大きく分かれる気がします。 ただ、読み進めるうちにどんどん物語の闇に引き込まれていく感覚は、以前読んだ『正体』にも通じるものがあり、サスペンス作品としての引力は抜群。エンタメとしてしっかり楽しめるはずです。
あと、本作はどうやら映画化されているみたいですね。活字で読んだこのドロドロとした展開が、映像としてどう表現されるのかは少し気になります。まだ観ていませんが、機会があれば映像版もチェックしてみたいかな〜というところです。
どんな人におすすめ?
リアルでダークな社会派サスペンスが好きな方や、人間の生々しい感情、そして泥沼へと転落していく様を描いたノワール小説に惹かれる人に強くおすすめできる一冊です。また、『正体』を読んで染井為人さんの筆力や展開の妙に魅了された方であれば、本作特有のどんどん闇に引き込まれていくストーリー展開もきっと楽しめるはずです。
最後に…
ダン・ブラウン作品の凄さに、今更ながら気づかされました。当時、本も映画も大ブームになっていたのはよく覚えているのですが、ヨーロッパの歴史とか宗教とか、なんだか難しそうだな…と敬遠してしまっていたんです。今回読んでみてやっと、あれほど世界中で大流行した理由が身をもってわかりました。
そして、朝井リョウさんの作品は、今回も安定して心に「ぶっ刺さり」ました!この鋭くえぐられるような感覚に引き込まれて、つい他の作品も読みたくなってしまいます。学校や若者が主人公の物語が多いですが(もちろんそうでない作品も最高に刺さります!)、ふとあの特有の「エモい」感情を読書で味わいたくなったとき、無性に読みたくなる作家さんです…!
『悪い夏』は、私が今まで読んできた中ではあまり触れたことのないタイプの作品でした。それでも、人間の泥臭い部分や裏の顔がリアルに描かれていて、「こういうダークな世界観を知るのも読書の醍醐味だな」と、その独特な味わい深さにすっかり惹き込まれました。
今回ご紹介した中で、もし少しでも気になった本や面白そうだなと思った本があれば、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!以上最近の読書紹介でした!ばいびー

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